画材の色名事典(白系統・その6)
2008 / 06 / 16 ( Mon )
胡粉
ごふん(胡粉)
顔彩・鉄鉢(KI) 日本画絵具“彩(いろどり)”(HL) 水干胡粉(UB)、他
日本古有の白。透明度の高い暖色系の優しい白で、日本画を始め我が国の工芸には欠かせません。本来、特定の所でしか採れないはまぐり系の貝殻から作られています。原料や純度によって特上飛切、白鳳印、寿印、白雪印等のランクに分かれます。上等な特上飛切の場合、人形の顔の仕上げにも用いられます。
以前、工程をTVで見た事がありますが、非常に手間暇がかっており、高価なのも納得させられます。ただし最近では量産の為にカキの貝殻を使用する事が増えています。

胡粉・白鷺
ごふん・しらさぎ(胡粉・白鷺)
日本画用岩絵具”優彩”(HL)
白鷺はコウノトリ目サギ科の鳥のうち、全身が真っ白な種類の総称です。日本では普通、ダイサギ・チュウサギ・コサギ・アマサギの事を指します。
その羽根の色から、真っ白で美しい事象の例えにされる事が多く、姫路城(兵庫県)も城壁の白さが際立つ事から、別名「白鷺城」と呼ばれ、親しまれています。
優彩の白鷺はメキシコ産ハマグリを使用しており、明度96.86とその名に恥じない白さを誇ります。

胡粉・白妙
ごふん・しろたえ(胡粉・白妙)
日本画用岩絵具”優彩”(HL)
白妙は、梶(かじ)の木などの皮の繊維で織った白い布の事で、転じて昔は白い色の事も指していました。
胡粉の方はメキシコ・日向産両方のハマグリを混合して使用しており、明度は95.74となっています。


胡粉・白雪

ごふん・しらゆき(胡粉・白雪)
日本画用岩絵具”優彩”(HL)
念のため辞書で調べると、白雪は「真っ白い雪」の意味でした(笑)。
宮崎県日向産のハマグリのみを使用している為、やや黄味がかっていますが、それでも明度95.28と、カキ等を使用した胡粉よりははるかに良質です。

岩胡粉
いわごふん(岩胡粉)
鳳凰(天然)岩絵具(NA)
いわごふん(ほうかいまつ)(岩胡粉(方解末))(SK)
大理石(粉砕石灰岩)や方解末を用いて、胡粉の色調に作られた色。主に下地に用いられます。
参考にしたホルベインの公式サイトによると、胡粉とは古代中国で胡人(=シルクロードを通ってやって来たイラン・ペルシャ人をこう呼びました)がもたらした白い粉、の意味で、本来白亜を原料にしていましたが、日本では代わりに入手しやすい貝殻を用いたのが定着したそうです。

岩胡粉
しろごふん(白胡粉)
アクリルガッシュ ジャポネスク(TN)
(胡粉の中でも)白い胡粉、の意味。
粉っぽい白色顔料の白亜(PW18)を使用し、雰囲気を出しています。
マンセル値はN9.2。落ちついた色です。

胡粉・白妙
じゅんぱくごふん(純白胡粉)
アクリルガッシュ ジャポネスク(TN)
白胡粉よりも更に精製された様な、純白の胡粉、の意味。
それでもマンセル値はN9.3で、同製品の白(N9.5)より発色は穏やかです。

胡粉
ちたんごふん(チタン胡粉)
チタン胡粉(UB)
現代の洋画の顔料である酸化チタンを原料に作られた胡粉。その分不透明な感じがしますが安価です。
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画材の色名事典(黒系統・その7)
2007 / 11 / 27 ( Tue )
PEACH BLACK
バインブラック(VINE BLACK)
ブロックス油絵具(BX)
バイン(vine)は一般につる植物の事。特にイギリスではブドウの木の事を指します。
元々のピーチブラックに用いられる桃核灰が稀少である為、
代わりに葡萄灰を顔料として使用する様になりました。ちなみに顔料番号はPBk8。
漆黒度がかなり高めで、耐光性と安全性も申し分ありませんが、
着色力があまり無い為、混色しても他の色をあまり食わないのが特徴です。
ただしブロックスでは品質安定の為か、葡萄灰の代わりに天然酸化鉄(PBk11)を用いて調色していますが、同じPBk11を使用した同製品のマルスブラックよりも着色力は弱めです。

CARBON BLACK
プライマリーブラック(PRIMARY BLACK)
アクリラガッシュ基本色シリーズ(HL)
プライマリー(primary)は元々基本の、あるいは原始的な、の意味。
それにcolorが付くと、原色の意味になります。
色材の3原色と言うと、シアン・マゼンタ・イエローの3色ですが、
この3色を全部混ぜても濃い無彩色になるだけで、「黒」にはなりません。
さらに3原色を混ぜるだけでは出しにくい暗色や中間色を出す為に
プライマリーホワイトと共にこの色が追加されたのです。
顔料は製品の暗色の製造にも使用されるPBk7を使用。
安全性も耐久性も万全ですが、マンセル表示がN=1.8の為、
単独で用いると少々浅い色合いになるかも知れません。

JET BLACK
ブラックレーキ(BLACK LAKE)
マイメリガッシュ(MM)

マイメリガッシュには、2種類のブラックがあります。
それらはいずれも高い漆黒度を持つPBk1と耐光性が高く混色しやすいPBk9を混合して作られています。
この色名はレーキ顔料、つまり元々は染料であるアニリン系(PBk1)の比率が高いブラックだと言う事を示しています。
その為寒色系で、そのままだと同製品のブラックより漆黒度が高いのですが、透明度が若干高いのか、白を混ぜた時より淡く感じられます。
なお、PBk1が入っていると言う事は、やや毒性があると言う事なので、取り扱いに気を付けて下さい。
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画材の色名事典(灰系統・その24)
2007 / 10 / 19 ( Fri )
PETREL GREY
ペトレルグレイ(PETREL GREY)
カラーソフト(DW)
ミズナギドリ目の海鳥の一種、ウミツバメ(=petrel)の羽毛の様な濃い灰色。
洋名のペトレル(petrel)は、海上を歩行するように飛ぶ様子が、水上を歩いたと言う伝説を持つ聖ペテロを連想させた事に由来します。

PERCIAN GREY
ペルシャングレイ(PERSIAN GREY)
カラーソフト(DW)
ペルシャ (Persia)は、イランの旧称の意味もありますが、この場合はペルシャ猫の事を指します。
ペルシャ猫はアフガニスタンが原産地で、イギリスなどヨーロッパで改良された品種です。ズングリした体型とフサフサした長い体毛が特徴です。体毛の色は単色から縞模様まで100色以上が公認されているそうですが、このやや濃いめの灰色が、ひょっとしたらオリジナルなのかも知れません。

MID GREY
ミッドグレイ(MID GREY)
カラーソフト(DW)
ミッド(mid)は中心の、もしくは中間の、の意味。
色相に偏りがなく、明度も中くらいの、灰色らしい灰色です。
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画材の色名事典(灰系統・その23)
2007 / 10 / 18 ( Thu )
INK BLUE2
インクブルー(INK BLUE)
ドローイングペンシル(DW)
カラーインクの色を思わせる青、と言うよりは、やや青みがかった濃い灰色と言った方がいいでしょう。とは言え、普通の黒よりも使い勝手が良さそうです。

SMOKE GREY
スモークブルー(SMOKE BLUE)
ドローイングペンシル(DW)
本当に煙(=smoke)を思わせる色ではありますが、なぜ素直に「スモークグレイ」にしなかったの?、と、突っ込みたくなる様な寒色系の明灰色です。

SOLWAY GREY
ソルウェイブルー(SOLWAY BLUE)
ドローイングペンシル(DW)
ソルウェイ(Solway)は、イングランド北西部とスコットランド南西部が面しているソルウェイ湾の事。元々は「太陽の通り道」の意味で、水平線に夕日が沈んでいく事からこう名付けられたに違いありません。
しかしこの地域は霧や雲が多いからでしょうか、単独だととてもブルーに見えない明灰色をしています。

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画材の色名事典(灰系統・その22)
2007 / 01 / 25 ( Thu )
黒朱
くろしゅ(黒朱)
岩絵具(SK) 鳳凰岩絵具(NA)
黒朱は、朱の原料である硫化水銀を加工して作った色。薄めたり、光に当てたりした時に赤紫を感じるものの、朱色と言うには程遠い濃い灰色をしています。
最近、水銀と違い硫化水銀の毒性はほとんどない事が判明していますが、念の為、取り扱いに気をつけて下さい。また、銀を変色させてしまうので、銀箔等と併用しない様に注意しましょう。

岩黒朱
いわくろしゅ(岩黒朱)
岩絵具(KI)
岩絵具の黒朱、の意味。
普通の岩絵具同様5〜白まで番号が分かれている事や、価格が同社の紅辰砂の次に高いランクにある事から、天然の硫化水銀を用いている様です。
なお、色合いは先述の黒朱とほぼ同じで、粒子の細かさによる明度差はあまり感じられません。

濃口黒朱
こいくちくろしゅ(濃口黒朱)
岩絵具(SK) 鳳凰岩絵具(NA)
黒朱の濃い色。やや紫がかった黒に近い濃い灰色をしています。
これより黒みが増すと、純黒朱になります。

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画材の色名事典(灰系統・その21)
2006 / 12 / 27 ( Wed )
黒曜石
こくようせきまつ(黒曜石末)
鳳凰(天然)岩絵具(NA)
黒曜石の粉末、の意味。本物の黒曜石を粉砕して作られています。
黒曜石(洋名Obsidian)は、火山岩の一種。黒耀石と書く事もあります。
色は主に黒ですが、茶色や半透明もあります。
日本では現在の長野県や伊豆諸島、隠岐島が産地として有名です。
ガラスとよく似た性質で、加工して尖らせる事ができる為、
古代より日本も含めた世界中で石器として使用されてきました。
現代でも海外では手術用のメスとして使用されており、
様々な色の混じった美しいものは、装飾品や宝飾品として用いられています。
また、1000℃で加熱すると白い軽石状のパーライト (発泡体)になり、
土壌改良剤等に用いられています。
岩絵具では半透明の部分を使用しているのか、
その名に反して随分明るい灰色をしています。

電気石
でんきせきまつ(電気石末)
鳳凰(天然)岩絵具(NA)
天然の電気石を粉末にして作られた岩絵具の色名。
なお、普通は「でんきいし」と読みますが、
岩絵具の場合は「でんきせきまつ」と読みます。
電気石はトルマリン(Tourmaline)の和名。
実際に結晶を熱すると電気が帯びる事に由来します。
様々な色がありますが、岩絵具では黒のトルマリンを使用しているのか、
黒に近い濃い灰色をしています。
なお、いくら本物のトルマリンを使用しているとは言え、
パワーストーンとしての効果は、期待しない方がいいでしょう。

盛上胡粉
もりあげごふん(盛上胡粉)
鳳凰(天然)岩絵具(NA)
盛上胡粉は胡粉の中でも最も安価な物。
精製の度合いが低く、不純物が多い為、かなりくすんだ色をしています。
その為、胡粉の仲間とは言え灰系統に入れた次第です。
下書きにしか使えませんが、安価なので地塗りには惜し気もなく使えるのが特長です。
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画材の色名事典(灰系統・その20)
2006 / 12 / 27 ( Wed )
利休鼠
りきゅうねずみ(利休鼠)
鳳凰岩絵具(NA)
千利休は、桃山時代に太閤のご意見番として活躍しながら、後に切腹を命ぜられた悲劇の大茶家。
後にこの利休は茶葉を連想させる事から、緑味の色の形容に用いられる様になりました。
この色名は四十八茶百鼠の江戸時代に登場。一説には「利休好みの色」とされていますが、どうやらこれは後世(江戸時代)の人々によるガセネタの様です。

淡口利休鼠
うすくちりきゅうねずみ(淡口利休鼠)
濃口利休鼠
こいくちりきゅうねずみ(濃口利休鼠)
以上、優彩(HL)
その利休鼠の淡い色と濃い色。ちなみに濃口の色チップは優彩の9番〜13番を
グラデーションで表現しています。
なお、利休鼠は登場した時から、風流で高尚な色として人気の高い色でした。
しかし文明開化以降に登場した北原白秋が、自身の作品「城ヶ島の雨」に登場させた事から、
さらに高尚な色として扱われる様になりました。

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