画材の色名事典(緑系統・その90)
ヴァンダイクグリーン(VAN DYKE GREEN)
ミッションゴールドクラス透明水彩W537(MJ)
バロック期の画家、アンソニー・ヴァン・ダイク(英: Anthony van Dyck)は焦茶色にその名(ヴァンダイクブラウン)を残しましたが、他にも「チャールズ1世の娘メアリー・ヘンリエッタ・ステュアートの肖像」、「ジョン・ステュアート卿と弟バーナード・ステュアート卿の肖像」そして、「ヘンリエッタ・マリアと小人ジェフリー・ハドソン」等の人物の衣服に用いられている輝く様な青緑色です。
色名は、その色をイメージしていると思われます。
ビスマスグリーン(BISMUTH GREEN)
ネオカラーⅡ 193(CD)、他
色名はビスマスバナディウムイエロー(bismuth vanadate, PY184)に由来しています。
クロームグリーンやカドミウムグリーンよろしく、PY184に青色か緑色の顔料を混ぜて作られていると思われます。
わずかに黄味寄りの、鮮やかな緑色です。
フラゴナールグリーン(FRAGONARD GREEN)
フラゴナール専門家用油絵具331(PB)
ウィンザーブルーやルフランピンク同様、合成顔料を用いた緑色にブランド名を被せて生まれた色名。
PG6をベースにPV19を混ぜて作られている為、深く落ち着きのある色調ながら透明度が高いのが特徴です。
ブランズウィックグリーン(BRUNSWICK GREEN)
ガッシュT7 228(PB)
ブランズウィック(Brunswick)は、ドイツ・ニーダーザクセン州の独立市ブラウンシュヴァイク(Braunschweig)の英名。
ハルツ山地の北に位置し、土壌や立地環境に恵まれた事から農業を始め様々な産業が盛んであるため、ニーダーザクセン州第2の都市の都市として知られています。
また、19世紀最大の数学者カール・フリードリヒ・ガウスの出身地であり、ドイツ最古の名門校ブラウンシュヴァイク工科大学を擁する等、文教都市としても知られています。
色名は、ハルツ山地の針葉樹林の色をイメージしています。
ブロックスグリーン(BLOCKX GREEN)
ブロックス油絵具563(BX)
やはり合成顔料(PG7)を用いた緑色に企業名を被せたもの。
当初は無機質な合成顔料名をそのまま色名に用いる事に抵抗があったのでしょう。
しかし、その後同製品でもPG36を使用した色には顔料名の略称を色名として採用しています。
ホワイティグリーン(WHITY GREEN)
アムステルダムアクリリックガッシュ135(TL)、他
そのまま訳すと、白っぽい(=whity)緑(=green)。
アムステルダムアクリリックガッシュにおける、ごく淡い色のシリーズの一色です。
混色して作る事もできますが、微妙な色なので、一度に大量の同じ色を作るとなると大変です。
なお、緑としてはやや青味寄りです。